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科学の忘れもの

この世界で起こることすべては、いずれ科学で説明がつき、技術で再現することができる、という考え方があります。
もしそれが本当だとしても、実現できるのは遠い将来のこと。
おそらく科学や技術が進歩するほど、世界の謎は深まるばかりという方が、ありそうな未来です。
すでに科学技術によって解決済みとされているテーマにしても、よくよく見直してみれば、落としものや忘れものだらけ。
しかもそれらは、いちばん大切で、しかも日々の生活のすぐそばにあったりするようです。
たとえば、勘や気配や予感をはじめ、合理的に説明されたように思えても、どこか腑に落ちないものは、決して少なくありません。
思えば現代文明はずいぶんたくさんの忘れものをしてきてしまいました。
しばしの間、立ち止まって、あれこれ思い出してみるときが来ているのかもしれません。
来るべき科学や技術の種は、そんな忘れものの中で、見つけられるのを、いまや遅しと待っているのです。

堀場製作所

勘〜元気、蒸気、電気。

エネルギーの基本は、火と人力。東アジアでは、エネルギーは「気」でもあり、本来人間に備わっているエネルギーは「元気」と呼ばれました。これに家畜が加わり、水車や風車などの「自然エネルギー」も利用されるようになります。大航海時代においても、その時代を推進した動力は風力でした。エネルギーの歴史を大きく変えたのは、やはり蒸気機関の発明でしょう。産業革命の到来です。さらに蒸気の力は、電気の力におきかえられてゆきます。現代では、ガソリンエンジンさえ、モーターにとってかわられつつあります。確かに電気は、蒸気や元気=人力などに比べて、コンピュータなどによる微細なコントロールが容易であるように見えますが、大きな弱点があります。現代文明は、停電によって立ち往生してしまうのです。

人工知能に勘や直感を組み込むことは、可能でしょうか。将棋や囲碁で、コンピュータが名人に勝利したように、職人たちの経験やこれまでに起こった様々な事象の膨大なデータを集積することができれば、一見それは実現できそうにも思えます。しかしいまのところスーパーコンピュータを駆使しても、天気予報さえ100%の精度を達成することができないままです。農業や漁業に携わる人びとの天気予報の的中率にも、及ぶことができそうもありません。ましてや勘のシステム化は、無理というもの。勘や直感には、無意識が大きくかかわっていると思われます。意識化されない情報や記憶、あるいは雑音は、システム化することはできないのです。

●実は、勘や直感は、外れることがあるからこそ、ときには逆に大きな力を発揮することができるのです。当初から失敗を想定せず、外れることを排除したプログラムには、勘や直感が備わるはずがありません。ほかならぬ現代文明が、雑音や失敗を排除するものである以上、いずれ人間の能力からも、勘や直感が失われていく可能性だってあるのです。

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